ATWの柔軟な対応力がアプライアンス製品の実現に寄与、データ放送の強力な基盤として活躍するカスタム仕様の「radserv X」
CATVに代表される有線テレビジョン放送事業やインターネット接続事業などを東海地区で展開している知多メディアスネットワーク株式会社。1996年の設立以来、有料放送やインターネットサービスの契約数を順調に伸ばしており、現在はサービス提供地域のおよそ60%の世帯数が同社のサービスを利用している状況だ。なかでも、CATV局としていち早くデジタルデータ放送への取り組みを開始している同社は、データ放送に用いるデータを送出できる設備「C-MUX」を自社開発し、C-MUX制御部の開発を担当している中電シーティーアイを通して、自社だけでなく他のCATV局への外販も行っている。このC-MUXを動かすためのIAサーバに、株式会社エーティーワークス(以下ATW)が提供するショートレングス1Uサーバ「radserv X」が採用されている。
外販用のインフラ基盤となる安定したサーバを求めて
東海地区のCATV局として地域に根ざしたビジネスを行っている同社は、有線テレビジョン放送事業やインターネット接続事業のみならず、IPv6へのコネクティビティ実施や知多半島の総合情報ポータルサイト運営など、積極的な事業展開を行っている。また、2008年7月には複数のケーブルテレビ会社と事業連合を結成し、東海地区での新たなビジネス基盤作りへの取り組みも実施している。
そんな同社が提供するサービスの1つに、天気やニュース情報、番組に関連した情報を画面に表示するデータ放送がある。このデータ放送に用いられる情報を送出するためのデータ放送送出システム「C-MUX」は自社で開発しており、コンテンツ制作や管理、検証作業、データ送出などを担うシステムとして同社のビジネスを支えている。このC-MUXの機能を他のCATV局に外販するため、サーバ一体型の製品としてアプライアンス化する計画が持ち上がったと技術部の須田氏は語る。「C-MUXはIAサーバ上で動作するアプリケーションです。外販するためには、C-MUXを安定して動作させるIAサーバが必要になります。そこで、可能な限りコンパクトな設計で、なおかつ廉価なサーバを探すことになったのです。」
カスタム仕様という提案力で要望を満たしたATW
そこで、C-MUXを実装するためのIAサーバをインターネットで探していたところ、コンパクトな設計が魅力のショートレングス1Uサーバ「radsev X」が須田氏の目に留まることなる。しかし、複数の情報を送信するためのMPEG-2で規定されたTS(トランスポート・ストリーム)ボードがPCIフルハイトのものでなくてはならず、ショートレングス1Uでは実装できないことがわかったという。「我々が必要だったのは、1Uサーバで奥行きがなるべく短いもの、かつPCIフルハイトのカードが実装できることです。また、駆動するHDDの代わりに、大容量のフラッシュメモリであるシリコンディスクが搭載できるものを探していました。」
いったん採用を諦めかけた須田氏だったが、新たにフルレングスの1Uサーバにradsev Xのメインボードを組み込んだカスタム仕様のサーバをATW側から提案されたという。そこでATWのサーバも含めて、新たに複数のサーバを選択したという須田氏。しかし、価格的に折り合いのつかないものが多く、なかには対応に時間がかかるものもあった。「ATWは、こちらの要望に真摯に対応していただきました。また、価格的にリーズナブルなものだったばかりでなく、納期も要求通りに対応いただけることがわかったのです。」結果的には、スペック的にも価格的にも同社の仕様にマッチするものとして、ATWのサーバが選択されることになる。
安定したアプライアンスサーバが外販の強力な武器に
現在は、C-MUX機能がインストールされた外販用のアプライアンスサーバとしてATWを活用している同社。すでに6セットほど導入実績があり、今後も積極的に外販していく予定だという。「ATWのサーバがなければ、おそらく製品化することは難しかったでしょう。価格的にも納期的にも大変満足しています。」と須田氏。
すでに納品しているものについても顧客からも高く評価されているという。「データ放送コンテンツを安定に送出しており安心できる。」
ATWに対しては「見積もりの依頼や問い合わせについてもすぐに回答をいただいており、大変感謝しています。カスタム仕様のご提案も含め、その柔軟な対応力がATWの魅力の一つだともいえるでしょう。」と須田氏。
また、ATWへの要望については「データ放送のインフラとしてサーバの冗長化をさらに強化したいと考えています。例えば電源の二重化など、ハード的な障害に耐えうる構成も選択できるようにお願いしたいですね。」サーバそのものについてのトラブルはないとのことだが、ファンの音が多少気になることもあり、静穏化への対策も要望としていただいている。
新たな製品基盤と自社インフラとしての拡張へ
今後の展望について須田氏は、「C-MUXの新規バリエーションを新たに開発する際のインフラとしてATWのサーバをさらに活用していきたい。」と語る。より高度なデータ放送インフラに向けて、C-MUXをさらにバージョンアップしていきたいという。また、自社設備の中でもATWのサーバを積極的に活用していきたいと今後の展望を語っていただいた。
知多メディアスネットワーク株式会社
所在地
愛知県東海市大田町下浜田165
代表者
代表取締役社長 磯辺 正司
事業内容
東海地区を中心とした有線テレビジョン放送事業やインターネット接続に係る電気通信事業、コミュニティ放送事業を手掛ける。
URL
http://www.medias.co.jp/